ヨーロッパ鉄道の
旅を計画ユーレイルグローバルパスの使い方と計画

ユーレイルパスの価格ってお得? それとも損? 格安の鉄道パス?

ユーレイルパスや鉄道予約と乗り方、テクニックなど、ヨーロッパ鉄道の旅情報

ヨーロッパの鉄道旅行といえばユーレイルパスですが、パス代と現地で切符をその都度買うのではどちらが安いか?という疑問を持つ方は多いと思います。

結論から先に言ってしまうと、ユーレイルパスで元を取るのは難しいです。ヨーロッパの鉄道パスの価格が高いため、毎日ある程度の距離を乗らないと元が取れない計算です。
例えばユーレイル・グローバルパス21日間用の料金は1日当たり約4500円。ユースパスの料金でも2900円。 1日でこの料金分列車に乗ろうとしたら、それなりの距離を乗ることになり、しかも毎日電車に乗るわけではないため、個別で切符を買うよりも鉄道パスの価格の方が高く付くことが一般的です。

ユーレイルグローバルパス

ユーレイル・グローバルパスのフレキシータイプは連続した日にちではなく、1日単位で利用することができる鉄道パスなので無駄が無いように見えますが、10日間用では1日分の料金はユースパスであっても約5600円。

夜行の寝台列車でヨーロッパを大移動しないかぎり、それだけの料金の元を取ることは不可能です。

つまり、夜行の寝台列車でパリ〜ローマ、パリ〜ジュネーブ、ローマ〜ミュンヘンなど大移動を何度も繰り返すような超ハードスケジュールでヨーロッパ旅行を続ければ、ユーレイルパス料金の元を取ることはできますが、おすすめできる旅程ではありません。

ですので損得の結論は、『価格で考えれば損』、『利便性を考慮すれば人によってお得』となります。

『とにかく安く、ヨーロッパをバックパッカーで旅したい!』という方にアドバイスしたいことは、「安上がりで良い旅をしようと思ったらユーレイルパスは使わないこと」
これは鉄則です。高いパス代を払っているために、少しでも長い距離を乗ろうと無理な旅程を組んでしまうといった、鉄道パスに縛られる旅になるのでは話しになりません。

それでもユーレイル・グローバルパスは人気が高く、多くの個人旅行者が利用しています。つまり、それだけの魅力があるわけです。さらに、鉄道料金が高めのフランス・スイス・ドイツでは、1カ国、又は2カ国有効の鉄道パスを使うことで、十分にパス代の元を取ることは可能なため、使い方次第と言えます。

目次

ユーレイルパスのメリット&おすすめの使い方

ユーレイル・グローバルパス

ユーレイルパスの最大のメリットは、チケット売り場に並ばずに1等車や2等車にそのまま乗り込めること!
大都市のチケット売り場は非常に込んでいることも多々あり(30分以上並ぶことも多々有り。筆者はパリで1時間並びました…)、チケットを買う時間を節約できるだけでなく、言葉に自信が無い方はチケット売り場で日付や行き先、等級などを伝える必要が無いので非常に楽! ユーレイルパスを持っていれば、予約必須の列車以外どの列車(追加代金がかかる特別列車もあり)にも自由にそのまま乗れば良く、途中下車の回数も気にすることなく自由気ままな旅をすることが出来ます。

つまり、ユーレイルパスの使い方としては、「鉄道パス代の元を取ることは考えず、チケット売り場に並ばず、言葉の心配も無く、そのまま列車に乗り込んで自由気ままにヨーロッパを旅をしたい」という方におすすめです。

ちなみに、このユーレイルパスには無料のボーナス特典があり、上手く旅程に組み込めば、とてもお得です。それでも元を取るのは困難ですから、元を取ることは考えないようにしましょう。元を取ることを考えてしまうと、何度も言うようですが、ユーレイルパスに縛られる旅になってしまいます。

ユーレイルパスの種類と選び方 購入&特典&メリット

ユーレイルパスの購入について

ユーレイルパスの購入は、一部旅行会社でも扱っていますが、最もおすすできるのはユーレイルパスの公式日本語サイトからの購入です。発券元ならではの安心・確実・豊富な情報量・正確なヨーロッパの情報の他、他社購入よりも割安な料金であることが多いです。

ユーレイルパスの日本語公式サイトでヨーロッパ鉄道パス購入


ユーレイルパスの種類

ユーレイル グローバルパス
ユーレイル グローバルパスは、ヨーロッパ21ヶ国ユーレイルグローバルパスの特典 で利用でき、利用開始日から連続して利用するタイプになります。 15日間の場合は、1月1日から利用開始するのであれば、1月15日までヨーロッパ21ヶ国の鉄道を無制限に乗り放題! 2日に1回は移動をするような方におすすめ。
料金の種類は15日間、21日間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間の5種類。

オーストリア、チェコ共和国、ベルギー、クロアチア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、オランダ、ハンガリー、イタリア、ルクセンブルク、ノルウェー、ポルトガル、アイルランド共和国、ルーマニア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス。

ユーレイル グローバルパス フレキシー
グローバルパス フレキシーは、上記のパスのように連続した日ではなく、有効期間2ヵ月のうち、通用期間の日数分、利用日を自由に選んで使用できるパスです。
町に数日滞在してから移動をし、また数日滞在するといった旅程の方におすすめ。

ユーレイル セレクトパス

ユーレイル セレクトパスは、ヨーロッパ24ヶ国の中から鉄道/船舶で結ばれた隣接する国を3〜5カ国選択し、有効期間2ヵ月間のうち通用期間の日数分、利用日を自由に選んで使用できるセーバータイプのパス。
通用期間は5日、6日、8日、10日、15日(5ヶ国選択時のみ)の5種類。

国選択の条件は、第三国を経由せずに鉄道、もしくは船で結ばれた国同士のみ隣接した国で選択可能。
例えば、ノルウェーとフィンランドは国境を接していますが、ダイレクトに鉄道路線で結ばれていない為、選択できず、スウェーデンを含めることにより選択することが可能。5カ国以内で、町に数日滞在してから移動をし、また数日滞在するといった旅程の方におすすめ。
以前はフランスでも使用できましたが、現在では対象国から除外されていることにご注意。

ちなみに、以下の地域は1つの国としてカウントされる。
  • ベルギー、オランダ、ルクセンブルク
  • クロアチア、スロベニア
  • ブルガリア、セルビア、モンテネグロ

上記で案内しているユーレイル グローバルパスとセレクトパスの2つのパスでは、12〜25才の方限定で2等車のみ乗車可能な『ユースパス』と、『セーバーパス』という2名以上同行の場合の割引鉄道パスがあります。セーバーパスの条件は、同行で列車に乗らなければいけないことと、1回の注文で最低2枚以上のパス購入をすることが条件です。
例えば、3人でセーバーパスを購入した場合は、3人一緒に列車に乗る必要があり、別行動は不可(1グループにつき1枚の鉄道パス)ということです。この条件で問題なければ、非常にお得なパスです。

ユーレイルグローバルパス、セレクトパスの無料・割引 ボーナス特典

 無料特典
  • ドイツ/ライン川のKDライン観光船
  • イタリアとギリシャ(ブリンディッシ―パトラス)間のフェリー
  • スイスのレマン湖/チューリッヒ湖/ルツェルン湖/トゥーン湖/ブリエンツ湖などの湖船
  • ドイツとデンマーク(プットガルデン―ロズビュー)間の連絡船
  • イタリアのシチリア島(メッシーナ―ビラサンジョバンニ間)の連絡船
  • デンマークとスウェーデン(ヘルセンゲア―ヘルシングボリ)間の連絡船
 割引特典
  • ロンドン-パリ/ブリュッセルのユーロスター
  • タリス(セレクトパスは、発着駅の両国を含む場合)
  • ドイツのロマンチック街道のヨーロッパバス乗車料(20%)
  • スイスのユングフラウ鉄道の登山列車(25%引)
  • スイスのゴルナグラート−ツェルマット間のケーブルカー
  • スイスのユングフラウ/リギ/ピラタスの登山鉄道(25〜30%)
  • フランスのシェルブール-アイルランドのロスレアのフェリー(50%)
  • オランダのホエックファンホーランド/イギリスのハーウィッチ間の高速船(30%)
  • フランスのコルシカ島内のコルシカ鉄道(50%引)
  • ノルウェーのフロム鉄道(30%)
  • フランスのコルシカ島内のコルシカ鉄道(50%引)
  • タリンクシリヤライン(ストックホルムやヘルシンキ、タリン、リガなど)の船舶(30-50%引)
  • ドイツのツークシュピッツェ登山鉄道(25%) 他

ヨーロピアンイーストパス
ヨーロピアンイーストパスは、中欧(オーストリア、チェコ共和国、ハンガリー、ポーランド、スロバキア)5ヶ国で有効な鉄道パスです。1ヶ月間の有効期間内で使用日を5日〜10日分選択できるフレキシータイプで、1等と2等の設定があります。

ヨーロピアンイーストパスのボーナス特典

  • オーストリアのメルク〜クレムス間などのドナウ川の観光船が20%割引
  • オーストリアのシェーネベルク登山鉄道が20%割引
  • オーストリア40駅のレンタルサイクルが40%割引  他

ユーレイル ベネルクスパス
ユーレイル ベネルクスパスは、オランダ・ベルギー・ルクセンブルクのベネルクス3カ国で使用でき、使用開始から1ヶ月間に5日分の利用日を選んで使えるフレキシータイプの鉄道パス。
2名以上で同行する場合割引になるセーバーパスや、25歳までの方用の2等ユース料金の設定があります。

ユーレイル ベネルクスパスのボーナス特典

  • ロンドン〜ブリュッセル間のユーロスターの割引
  • ブリュッセル〜アムステルダム間のタリスの割引  他

ユーレイル スカンジナビアパス
ユーレイル スカンジナビアパスは、デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランドの北ヨーロッパ4カ国で利用できる鉄道パスで、2等のみの設定。2ヶ月の有効期間内に通用日数(4〜10日)を選んで使えるフレキシータイプで、セーバーパス、ユースパスの設定があり。

ユーレイル スカンジナビアパスのボーナス特典

  • タリンクシリヤ ライン、バイキング ライン、カラー ラインが50%割引
  • ストックホルム〜ナルヴィックを結ぶ夜行列車ノーランストーグが割引
  • スウェーデンのボーデンとフィンランドのハパランダ間のバスが無料 他

上記で案内した数カ国周遊の鉄道パス以外にも、2カ国で有効な乗り放題の鉄道パスがあり、数カ国周遊の鉄道パスよりもお得な料金設定。 いろいろな組み合わせの鉄道パスが販売されていますが、人気が高いのは主に下記の鉄道パスです。

  • ユーレイル フランス&イタリアパス
  • ユーレイル べネルクス/ジャーマンパス
  • ユーレイル ベネルクス&フランスパス
  • ユーレイル ジャーマン&スイスパス
  • ユーレイル ノルウェー/スウェーデンパス
その他、1カ国のみ有効の鉄道パスもあり、特典も様々。
詳しくは、ユーレイルパスの日本語公式サイトで確認してみて下さい。

ヨーロッパ鉄道の旅のテクニック

  • トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表 最新版は必ず入手し、読みこなせるようにしておく。初めて時刻表を開いてみると、数字と英語がギッシリの分厚い時刻表に思わず「何これ…」って思うかもしれないが、難しいことは書いてなく、慣れてくると結構簡単に読める。ただ、どの書店でも売っているわけではないので、上記リンクのオンライン購入が便利。送料も無料です。
  • 時刻表で最適な列車が見つからない時は、駅の切符売り場で出発時刻を聞いてみる。トーマスクックの時刻表には出ていないローカル列車も結構あり、いつ、どこに行くのかを聞けば切符売り場の人によっては最適な列車や特別な割引切符も教えてくれることもある。
    また、ホームがいくつもあるような大きな駅の場合は、念のため自分が乗る列車は何番線から出るのかを聞いておくと安心。
  • 切符はなるべく前日までに購入しておこう。
    例えばパリのような大都市の駅になると、チケットの窓口はとにかく混み合う。筆者の経験ではパリ・リヨン駅のチケット売り場に1時間並んだこともある。通常はここまで待たないが、当日列車に乗り遅れないよう、前日までに買っておくと当日が楽で安心。
  • ユーロスター、タリス、その他の高速列車のチケットは、事前購入すると割引料金を利用できるが、この割引料金は販売座席数に制限があり、早々に売り切れてしまうことも少なくない。出来るだけ早めに予約を入れるのがベター。
  • ほとんどの主要な駅には、有料のコインロッカー、または荷物預かり所があるので、観光後は宿泊なしでまた列車に乗る際に利用すると大変便利。
    ロッカーを使用する場合は小銭を用意。荷物預かり所の場合はクローズする時間も確認しておくこと。また、ロッカーが小さくて入らない場合や、荷物預かり所が無い場合は、駅の人に聞いてみると良い。何かアドバイスや助けてくれることがある。筆者は駅長室に置かせてもらった経験もある。

次のページでは、ヨーロッパの鉄道パスと鉄道チケットが買える、レイルヨーロッパの日本語公式サイトについてご案内します。

ヨーロッパの鉄道パスと鉄道チケット購入


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「ヨーロッパ鉄道の旅」の関連記事・情報

トーマスクックの鉄道時刻表は必ず購入!

ヨーロッパを鉄道で旅行する人にとって必須の時刻表。

急な旅程変更でもこの時刻表があれば、路線図も付いているので具体的なコースと時刻を知ることが出来、無駄の無いヨーロッパの鉄道旅行が出来ます。

列車内の荷物置き場と鉄道旅行に最適の旅行カバン

ヨーロッパの普通列車やローカル線では日本の列車同様に荷物置き場はなく、通路は狭いため荷物を置くことは出来ないのが普通。結果、大きな荷物でも頭上の荷物棚(日本のものよりも大き目)に載せることになるが、長距離列車の場合は荷物置き場が乗降口付近にあることもある。

つまり、スーツケースなど大型荷物を持って列車に乗ることは大変な労力となり、特に女性の場合、スーツケースは厳しい。持ち上げられない荷物でも男性がそばにいれば手助けしてくれることが多いが、それを当てにした旅の仕方はいかがなものか…

鉄道での移動が中心の旅行をするのなら、スーツケースではなくキャリーケース、又はバックパックが最適で強くおすすめする。

尚、キャリーケース&バックパックの選び方、おすすめのキャリーケースは別ページにて特集をしているので、下記を参照。

おすすめのキャリーケース

ユーレイルグローバルパス・フレキシーの日数のカウント・計算の仕方と注意点

鉄道パスのボーナス特典を利用の場合は、鉄道を利用したのと同様に1日分がカウントされます。

昼間に旅行する場合
乗車前に乗車日の日付を記入します。1日の有効期間は、その日の午前0時から翌日の深夜24時までです。

夜行列車を利用する場合
19時以降に発車する夜行列車をその日の最初に利用する場合は、乗車日の翌日の日付を記入します。この場合の1日の有効期間は、出発日の19時から翌日の深夜24時まで。

ヨーロッパで事前予約が必要の列車

時刻表に [R] マークがある列車は事前予約が必要。

  • イタリア ES(ユーロスターイタリア)
  • スイス 氷河急行、ベルニナ急行、パノラマ急行
  • スウェーデン X2000(スカンジナビア特急)
  • スペイン AVE
  • ドイツ ICE Sprinter
  • フランス TGV、タリス
  • ユーロスター
  • ユーロナイト
また、寝台車・クシェットも予約が必要。窓口で鉄道パスを提示し、追加代金を支払うことで購入する。

スイスでおすすめの鉄道パス

スイスを2週間ほど旅をするのであれば、スイスの半額カード(Half Fare Card)がおすすめ。

これはスイス国内の主要駅でのみ購入でき、パスポートを提示して購入する。料金は1ヶ月の有効で99スイスフラン。期間中、有効路線図に示された区間の切符を購入するときに、その都度半額になります。スイス国鉄全線、ほとんどの私鉄と登山電車、郵便バス、湖船まで半額で利用でき、鉄道料金の高いスイスでは簡単に元が取れます。

また、上記の半額カードに「スイスの空港、又は国境駅とスイス国内全ての駅の間の往復(入国時と出国時の2回の移動)」が無料になる特典が追加されたスイスカードもあり、入国時と出国時の2回の移動が長距離移動の場合はスイスカードの方がお得になることもある。