フィラエ島 (イシス神殿)
数ある古代エジプトの神殿群の中でも特に美しいことで知られるイシス神殿。
その神殿が築かれている、ナイル川に浮かぶ孤島がフィラエ島。アスワン・ハイダム (1970年完成) による遺跡の水没危機から救済する目的で、ユネスコの世界遺産活動の発端となった「エジプト・ヌビア遺跡の救済キャンペーン」が1963年から始まる。
この事業によって、フィラエ島に建てられていたイシス神殿を1972年から2年半の歳月をかけ、隣接する標高が若干高いアギルキア島に移築。イシス神殿の移築時は既に半水没しており、損傷が進行している状態であった。そのため、フィラエ島の周囲をフェンスで囲い、排水をしながら神殿を約4万個の石材(27000トン)に切断・解体、記録を取られた後に組み立てられるという、大掛かりな工事をえて現在に至っている。
ちなみに、神殿だけではなくアギルキア島自体もフィラエ島の形に近づけるため削られるなどしている。
現在のフィラエ島は、本来アギルキア島であるが、移築後はフィラエ島の名称で呼ばれている。尚、本来のフィラエ島は現在も一部分のみ水面上に突き出しており、現在のフィラエ島からも見ることが出来る。
解体作業と並行して、考古学的な調査記録も行われ、初期の建築物の基礎部分が発見されるなどの調査結果も得られている。